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【助産師トレーニー監修】妊婦が安全に運動するための三大原則


筆者である私は助産師であり、ほぼ毎日ジムに通うトレーニーです。
第一子妊娠時にはウエイトトレーニングを辞めて後悔した経験から、第二子妊娠中はバーベルやダンベルを使ったトレーニングを継続していました。

もともとウエイトトレーニングをしていた人にとっては、せっかくつけた筋肉は少しでも維持したいもの。
しかし妊娠の継続を脅かすようなことはもちろん避けたいですよね。


そもそも:ウエイトトレーニング含め、運動は続けてよい

日本では、昔から「妊婦は身体を冷やすな」「重い物は持つな」など、妊娠中は体を労わるように言われています。
はたして運動する事は妊婦にとって悪い事なのでしょうか?
米国産婦人科学会(American College of Obstetricians)によると禁忌や注意事項はあるものの、妊娠中に期待されるさまざまな効果とともに適度な運動を推奨しています。

日本でもマタニティヨガやマタニティビクスなどの妊婦向けの運動が徐々に浸透してきているように思いますが、重量を扱う"ウエイトトレーニング"、いわゆる筋トレはどうなのか?というと、

If you were very active before pregnanyou can keep doing the same workouts with your obstetrician's approval. by AGOC(米国産科婦人科学会 【和訳】 もし妊娠前に非常に活発な運動をしていた場合、産婦人科医の了承を得た上で同じトレーニングを続ける事ができる。
とあり、禁止されている運動例の中にも”ウエイトトレーニング”は含まれていないのです。


ここからは妊娠中トレーニングを行う際に実際に私が助産師目線で気をつけたことを3点にまとめてご紹介していきます。

STEP.1 絶対に無理はしないこと


言うまでもなく、これが大前提です。
どんな運動をするにしても、母子の安全が第一です。
「運動が可能な妊婦=切迫早産の兆候や合併症がなく、安静の指示がない」 ですが、妊娠中の身体はお腹が大きくなるという以外にも日々変化していきます。
そしてお腹の中の赤ちゃんも、妊娠週数に応じて様々な機能を獲得していきます。

その日その日で、体の変化や身体の調子とよく相談して運動しましょう。
実際もともと妊娠前は週4〜5ペース、毎回1時間半ほどトレーニングしていた私。
妊娠がわかり、つわりが始まってからの約1ヶ月は本調子ではありませんでした。
今になって、主人とよく話すのは”体調がすぐれないなら、思い切って休むこと”。
つわりの期間は人それぞれですが、思い切って1ヶ月だけでも休むことも大切だなと感じました。


STEP.2 自分の身体の変化を受け入れる

ふっくらまんまるとしたお腹は愛らしさもありますが、日常動作が不便になることも。
妊娠前も行っていた運動を行おうとしても、自分の中の成功体験が再現できないことももちろんあります。慣れていたはずの運動が、妊娠によって難しく感じるのです。
”立って靴下を履く”そんな動作さえ、妊娠前は当たり前にできた事ができなくなる場合もありますから、落ち込んだりせず、今は自分一人の身体ではない事を忘れないでください。
今の身体でできる運動のペースや量を、身体の変化に合わせて柔軟に対応してみましょう。
筆者の場合、つわりが明けた妊娠12週頃、妊娠前とほぼ同じくらいの時間でトレーニングができるようになりましたが、意識していた事がいくつかあります。

・軽重量かつ高回数で、ネガティブ動作を意識する ・呼吸は止めない ・1セット毎の休憩はしっかりとる ・休憩毎にお腹の張りを確認 ・水分はしっかり取り、トイレは我慢しない ・お腹に負荷がかかりにくい種目 ・鍛えたい部位によっても、バランスをとりやすい種目を選ぶ

これらのことに注意しながら、妊娠8ヶ月に入っても週2ペースでトレーニングを続けることができました。


しかし先述した通り、妊娠中の女性の身体は目まぐるしく変化します。
これならできる!!と思っても次週にはできなくなったり、ましてや妊娠以前のような高重量は扱えません。
重量を伸ばしたり、キツいメニューで追い込む周りの人を見ては、羨ましく感じたり葛藤もありました。

しかし、運動しているのは自分であり、その自分の身体であり、自分に合った運動が一番です。
これは妊娠期に関わらず、ウエイトトレーニングをする上でも大切なことだと思います。


STEP.3常に身体からの信号は見逃さないこと


例え、これまで特になんの問題もなく経過していた妊婦さんでも切迫早産になり得る事はあります。
妊娠・出産に「絶対」はないのです。
「安静指示がないから大丈夫!」と過信せずに、常に身体からのサインを見逃さないよう意識しましょう。
そのサインに気づくか気づかないかが、大きな分かれ道になります。
特に注意したいサインがこちらです。

①子宮収縮 ②出血 ③めまいなどの貧血症状 ④痛みが伴う
②〜④は自覚症状として比較的わかりやすいと思います。
しかし①の子宮収縮については自覚もないまま、切迫早産として入院管理が必要となってしまう場合もあるので気をつけましょう。
おなかの張りを感じる感じないに関わらず、時々お腹を触ってみてください。
やわらかく触れる時、かたく触れる時、その違いがわかりますか?

早朝や夕方、膀胱に尿が溜まっている時、立ち時間が長い時などはお腹が張りやすいと言われています。
日々の変化に注意を払うと同時に特に運動中はお腹の硬さをこまめにチェックしておくことが自分と赤ちゃんを守ることに繋がります。

最後に


筆者は結果的に出血や痛みを伴う子宮収縮などのトラブルもなく、健診も順調に里帰りすることができましたが、安易に運動してください、トレーニングしてくださいという事をお伝えしたい訳ではありません。

日本では妊婦が行うウエイトトレーニングに関する情報はまだまだ少なく、日本においてウエイトトレーニングに対してOKを出してくれる医師がどのくらいいるかというと、正直あまり多くはないのではないかなと思います。

助産師である私でさえ経験した”妊娠中のトレーニングについて”の悩みや葛藤。
同じような悩みを抱える妊婦さんのお手伝いができるよう、今後も勉強していきます。

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