top of page

「産後は腹筋NG?やるべき?」よく耳にする"常識"を研究でひも解く

更新日:10月9日



1. 産後の腹筋をめぐる2つの考え方



「産後は腹筋をしてはいけない」——そんな言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

一方で、「産後ダイエットといえば腹筋!」と、お腹をへこませるために腹筋100回を日課にしようとするママもいます。


つまり、産後の腹筋については大きく2つの考え方があるのです。


  • Aタイプ:産後のからだは弱っているから、腹筋は完全にNG


  • Bタイプ:お腹をへこませるには腹筋が一番。とにかく数をこなすべき



どちらも一理あるように思えますが、実はどちらも少し誤解が含まれています。




2. 腹筋に関する誤解



では、その誤解とはどのようなものでしょうか。



誤解A:腹筋はすべて危険だからやってはいけない



確かに、出産直後のからだは骨盤底筋や腹部の支持組織が弱っており、強い腹圧をかける動作はリスクになります。


ただし、だからといって腹筋をまったく使わずにいると、体幹の安定性が失われ、姿勢の崩れや腰痛などの不調につながる可能性があります。



誤解B:腹筋をすればするほどお腹がへこむ



シットアップやクランチのような動きは、どうしても表層のアウターマッスルが優位になりがちです。

産後のからだでこうした動きを繰り返しても、インナーが働きにくいため効率的にお腹は引き締まらず、むしろ骨盤底や腰に負担をかけてしまうこともあります。特に「腹筋100回」といった量を追うやり方は、産後のからだには不向きです。


このように、「全部NG」も「とにかく腹筋」も、どちらも誤解を含んでいるのです。



3. 研究が示す新しい視点



最新の研究では、正しく行う腹筋であれば、産後の回復に良い影響をもたらすことが分かってきています。




これらの研究は、カールアップのようにインナーを意識した腹筋が、産後の回復に良い影響を与えることを示しています。

つまり大切なのは「腹筋を避けること」や「アウター優位の腹筋」ではなく、産後の身体に合った方法でインナーを活性化させることなのです。



4. 大切なのは「何をするか」より「どう行うか」



産後の腹筋トレーニングで大切なのは、どんな種目を選ぶかよりも 「どう行うか」 です。

シットアップのように強い腹圧をかけたり、反動を使ったりする動きは、産後のからだに大きな負担となります。


一方で、呼吸と背骨の動きを組み合わせた、やさしい腹筋であれば、インナーマッスル(腹横筋・骨盤底筋など)が自然と働きやすくなります


例えば、こんな方法があります。


  • 軽いカールアップ


     仰向けで息を吐きながらおへそをのぞき込むように、首と胸を少し浮かせます。小さな動きでも、腹横筋や骨盤底筋がスイッチしやすくなります。


  • ロールアップ/ロールダウン


     背骨を一本ずつ丸めるように起き上がり、また一本ずつ下ろします。反動を使わずに背骨を丁寧に動かすことで、体幹の機能を取り戻しやすくなります。


  • 呼吸との連動


     吸う息で肋骨が広がり、吐く息で骨盤底とお腹が内側に引き込まれる感覚を意識します。力みすぎずに自然に体幹を整えることができます。



反対に、反動を使ったシットアップや息を止めて強く踏ん張る動作は、産後はあまりおすすめできません。



5. まとめ:よく耳にする“常識”にとらわれず、自分に合ったトレーニングを


産後の腹筋については、


  • 「すべて危険だからNG」

  • 「とにかく数をこなせば効果がある」



といった、よく耳にする“常識”があります。

けれど最新の研究や実践の知見から分かるのは、正しい方法であれば腹筋は産後の回復にプラスになるということです。


大切なのは「何をするか」ではなく「どう行うか」。呼吸や背骨の動きを意識したインナー中心のアプローチなら、安心して取り入れることができます。


私自身、現在産後4ヶ月を迎えていますが、思った以上に腹圧が弱く、体幹の安定感がまだ十分ではないと感じています。

ひとりの産後ママとして妊娠と出産による体の変化を実感しながら、ピラティスインストラクターとしては「インナーをどう働かせるか」を常に意識し、呼吸を軸にしたトレーニングを取り入れるようにしています。


MTCAマタニティトレーニング協会で学んだ知識があったからこそ、産後すぐに「避けるべき動き」と「取り入れてよい動き」を判断できました。その学びが、今の自分の体のケアや、同じように悩むママへのサポートにつながっています。


知識を持つことで、よく耳にする“常識”に振り回されず、自分の体に合った選択ができるようになります。

正しい知識に基づいて、一歩ずつ体を回復させていきましょう。


⚫筆者:荻菜摘


大手企業にて営業職からキャリアをスタート。Webディレクター・マーケターとして9年目。

Webマーケティング戦略や新規事業に携わる一方で、現在はピラティス(PHI)インストラクターとしても活動。

20〜40代女性を中心に、解剖学に基づいたケアとボディメイクを提供。

MTCAトレーナー資格を取得後、第一子を出産、現在は産後ママとして自身の経験も交えたリアルな情報発信を行っている。

コメント


​妊婦さん・ママのための
教室をさがす

SEARCH

Copyrights© 2022 一般社団法人マタニティトレーニング&ケア協会 All Rights Reserved.

bottom of page