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恥骨痛=リラキシンの問題? ― 身体の〝使われ方″から考える産後の痛み



1. 産後の恥骨痛は、本当に「仕方ないもの」?



産後、歩くときや立ち上がるときに恥骨のあたりが痛む——

そんなママの声は少なくありません。


健診や周囲のアドバイスとして


  • 「産後はよくあることですよ」

  • 「ホルモンの影響だから、しばらく様子を見ましょう」



と言われたことがある方も多いのではないでしょうか。



産後の恥骨痛は、一般的に

リラキシンというホルモンの影響や、骨盤の変化が原因として挙げられることが多い不調です。

妊娠・出産に向けて関節や靱帯をゆるめる働きがあるため、「痛みが出ても仕方ない」と受け止められやすい側面があります。


たしかに、これらは産後の身体に起こる自然な変化です。


ただ一方で、現場で産後ママさんへの運動指導をしていると、こんな違いも見えてきます。


  • 同じ産後でも、ほとんど痛みが出ない人がいる

  • 出産から時間が経っても、痛みが続く人がいる



もし原因がホルモンや骨盤の変化だけであれば、

ここまで個人差が出るのは不思議です。


「産後だから仕方ない」で終わらせてしまってよい不調なのでしょうか。




2. 恥骨が痛い=恥骨や骨盤が原因、という考え方の限界


身体の不調を考えるとき、

「痛い場所=原因」と考えてしまうのは自然なことです。


肩が痛ければ、

「肩に問題があるのかな」と考えますし

恥骨が痛ければ、

「恥骨や骨盤に問題があるのでは」と考えると思います。

実際に骨盤周辺の痛みに対しては骨盤ベルトを勧められるケースは少なくありません。


ただ、身体はパーツごとに独立して働いているわけではありません。

痛みが出ている場所と、負担の原因が一致しないことは、決して珍しくないのです。


恥骨は、日常動作の中で力が集まりやすい場所でもあります。

そのため、結果として痛みが表に出やすい部位とも言えます。


骨盤ベルトで楽になる方がいる一方で、

「着けてもあまり変わらない」「外すとまた痛む」

という声があるのも事実です。


つまり、骨盤だけを見ても説明できないケースがある、

という視点を持つことが大切になります。


3. 検証から見えてきたこと



恥骨痛は運動習慣・姿勢と関係している可能性



マタニティトレーニング&ケア協会では、

妊婦・産後女性16名を対象に、

恥骨周囲の痛みと身体の使われ方の関係について

独自の検証を行いました。


この検証では、

骨盤そのものへのアプローチではなく、

協会が推奨する下記のセルフワークを一定期間実施してもらいました。



  • 内転筋

  • 背骨

  • 骨盤底筋

  • 足首


へのアプローチを実施


※これらのセルフワークは、

 協会認定トレーナー養成講座の中で

 理論背景とあわせて学ぶ内容の一部です



その結果、

9割以上の方に主観的な痛みの変化が見られました。


ただし、これらのセルフケアによって

恥骨痛が直接改善するという単純な因果関係が確認されたわけではありません。


これらのワークは、

恥骨痛そのものを“治す”ためのものではなく、

身体を支える感覚を取り戻したり、

力のかかり方を分散させたりと、

日常の身体の使われ方に変化を起こすための介入です。


つまり、今回の検証結果から示唆されたのは、

恥骨痛が

リラキシンや骨盤の問題だけでなく、

運動習慣や姿勢(=身体の使われ方)と

関係している可能性です。


4. なぜ「運動習慣・姿勢」が影響するのか



ここで言う「姿勢」とは、

見た目がきれいかどうか、という話ではありません。


ポイントになるのは、日常動作の中で


  • 身体をどう支えているか

  • 力をどこで受け止め、どう分散しているか



という身体の使われ方です。


立つ、歩く、座る、抱っこをする。

こうした何気ない動作の積み重ねによって、

一部に負担が集中すると、その“受け皿”になりやすい場所に痛みが出ます。


恥骨もその一つです。


運動習慣が少ない状態や、

身体を支える役割が偏ったまま日常を過ごしていると、

結果として恥骨への負荷が増え、痛みとして現れる可能性があります。


だからこそ、骨盤だけを見るのではなく、

全身の使われ方に目を向ける視点が重要になります。




5. まずはここから:恥骨痛があるときのセルフチェック



恥骨痛があるとき、

「何か運動をしなきゃ」と考える前に、

まず次の3つを確認してみてください。


① 痛みが出るのは、どんな動作のときか

立ち上がる、歩き始める、抱っこをするときなど、

痛みが出やすい場面に偏りはありませんか。


② 日常の中で、身体を支える時間があるか

座りっぱなし、抱っこ中心など、

同じ姿勢や動きが続いていないでしょうか。


③ 痛い場所だけを、どうにかしようとしていない

恥骨そのものをどうにかする前に、

体全体の“使われ方”を見直す余地があるかを考えてみてください。



これらは治すためのチェックではありません。

恥骨痛をどう理解し、どう向き合うかを決めるための入口です。




まとめ:恥骨痛は「骨盤」ではなく“体の使われ方”を見直すサイン



恥骨痛は、

我慢するものでも、

「産後だから仕方ない」と片づけるものでもありません。


リラキシンの影響や骨盤の変化は、確かに前提としてあります。

ただ、それだけでは説明できないケースがあることも、

検証や現場の知見から見えてきています。


恥骨痛は、

骨盤ではなく、身体全体を見直すタイミングを知らせるサイン。


正しい視点を持つことで、

「なんとなく不安」「どうしたらいいか分からない」状態から一歩抜け出し、

「どこを見て、何を整えるべきか」を 自分で判断できるようになります。





⚫ 筆者:荻 菜摘


大手企業にて営業職からキャリアをスタート。

Webディレクター・マーケターとして9年目。


Webマーケティング戦略や新規事業に携わる一方で、

現在はピラティス(PHI)インストラクターとしても活動。


20〜40代女性を中心に、解剖学に基づいたケアとボディメイクを提供。

MTCAマタニティトレーニング&ケア協会認定トレーナー資格を取得後、第一子を出産。

現在は産後ママとして、自身の経験も踏まえたリアルな情報発信と運動指導を行っている。

 
 
 

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