「前ももが張る=前重心」は思い込み?産後ママの体に起きている“隠れ後方重心”の正体
- 荻 菜摘

- 13 時間前
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① 産後の不良姿勢:後方重心
現在、0歳児の育児真っ只中の私。
抱っこ紐で長時間歩くと、決まって腰にズシッとした重みを感じ、前ももがパンパンに張っています。
「前ももが張っているし、反り腰なんだから、今の自分は前重心なんだろうな」
MTCAを受講する前の私なら、安易にそう判断していました。
一般的に「前ももの張り=前重心」と捉えるトレーナーは多いですし、私もかつてはその一人だったからです。
しかしその後、MTCAで学び「妊婦さんも産後ママも、実は後方重心になる」という知識を得ました。
頭では理解したつもりでいましたが、いざ自分が出産し、抱っこ紐生活が始まって初めて、その真意を身をもって知ることになったのです。
「前ももがこんなに張っているのは、私の重心、実は後ろに倒れそうになっているんだ……!」
知識としての「後方重心」が、自分の体の悲鳴と結びついた瞬間でした。
なぜ産後の体は、前ももを張らせながら後ろに崩れていくのか。そのメカニズムを紐解いていきましょう。
② 産後の身体構造:なぜ「後方重心」が「前ももの張り」を生むのか
産後は腹圧が低下し、体格を支えるインナーユニットが働きにくい状態です。
その不安定さを補うために、身体は無意識に「骨盤を前方へスライド」させ、骨のロックで立とうとします。
このとき、重心の軸は足裏の踵(かかと)側に寄っています。これが「後方重心(スウェイバック)」の正体です。
1. 骨盤の突き出し(重心の後方移動)
→ 重心は後ろへ。上半身は抱っことのバランスを取るために、後ろに取り残されます。
2. 腰椎の過伸展(反り腰による代償)
→ 腹部に増えた重みを、腰の筋肉を縮めることで後ろに保っています。
3. ブレーキ筋(前もも)の過活動
→ 「後ろに倒れる力」に対抗するために、大腿四頭筋が常に「ブレーキ」としてフル稼働し、結果としてパンパンに張るのです。
つまり、前ももが張るのは「前に進みすぎている」からではなく、「後ろに倒れるのを必死に止めている」からなのです。
③ 海外研究が示す「重心位置」と腰椎負荷の関係
この「重心のズレ」が腰に与える影響は、「腰を守」という視点からも無視できません。
📚 Shirazi-Adlらの研究(2005)|姿勢と荷重が腰椎の安定性に与える影響
この研究では、姿勢(アライメント)がわずかに変化するだけで、腰椎を支える筋肉の働き方や、内部への負荷が劇的に変わることが示されています。
④ 現場で使える「重心の再教育」アプローチ
この「隠れ後方重心」を見抜き、修正するためのヒントをお伝えします。
• 「踵荷重」を抜くための足底センサーの起動
まずは踵に乗りすぎた重心を、足裏全体(特に母指球・小指球のライン)へ分散させます。これだけで、前ももの過緊張がスッと抜ける感覚を掴めるママも多いです。
• 抱っこ紐を「体幹スイッチ」に変える
のけぞって重みに耐えるのではなく、赤ちゃんの重みが「骨盤の真上」にストンと乗る位置に調節します。重みを「腹圧」を高めるための外部刺激として利用することで、インナーユニットが働きやすい環境を整えます。
重みを「耐える対象」から、「自分の軸を教えてくれるガイド」へ。
この視点の転換こそが、産後の歩行を劇的に変える鍵になります。
⑤ まとめ:トレーナーとしての実感を、指導の確信へ
「前ももが張るから前重心」という思い込みを捨てて、産後の構造を正しく理解すること。
自分の体で感じた「苦しさ」が、まさにMTCAで学んだ理論そのものだったと気づいたとき、クライアントさまへの説明は確実に変わりました。
単なる「反り腰改善」で終わらせず、重心を最適化し、日常の「歩く」を心地よいリハビリに変えていく。この本質的なケアを多くのママさん達に届けていけたら嬉しいです。
⚫ 筆者:荻 菜摘
大手企業にて営業職からキャリアをスタート。
Webディレクター・マーケターとして9年目。
Webマーケティング戦略や新規事業に携わる一方で、
現在はピラティス(PHI)インストラクターとしても活動。
20〜40代女性を中心に、解剖学に基づいたケアとボディメイクを提供。
MTCAマタニティトレーニング&ケア協会認定トレーナー資格を取得後、第一子を出産。
現在は産後ママとして、自身の経験も踏まえたリアルな情報発信と運動指導を行っている。








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