夜泣き対応がつらいのは、睡眠不足だけじゃない?〜“回復できない体”が続く産後〜
- 荻 菜摘

- 5 時間前
- 読了時間: 6分
① 「寝たはずなのに疲れが抜けない」の正体
私自身、現在ちょうど産後1年。
1歳になった息子が保育園に入園してから、
夜泣きが増え、久しぶりに細切れ睡眠の毎日を過ごしています。
添い寝で同じ向きのまま固まり、
気づけば肩に力が入りっぱなし。
夜中に何度も起きて、
朝になる頃には首や背中がバキバキ…
「少し寝たはずなのに、全然回復した感じがしない」
そんな朝も少なくありません。
産後の夜は、
夜泣き、授乳、添い寝、抱っこ、寝かしつけ…。
もちろん、睡眠不足そのものも大きな負担です。
しかし実際には、
単なる “睡眠時間の不足” だけでは説明できないような疲労感を抱えているママも少なくありません。
その背景にあるのが、
“回復できない姿勢”が長時間続いていること。
たとえば、
・赤ちゃんを潰さないように横向きで固定
・腕枕状態で寝返りできない
・座って抱っこしたままで寝落ち
・授乳姿勢のまま首だけ前に出る
こうした姿勢は、
実は呼吸や自律神経にも大きく影響しています。
つまり、
夜泣きがつらいのは 【睡眠時間という定量的な問題】だけではない可能性があるのです。
② 夜間育児で身体に起きていること
産後の身体は、ただ疲れているだけではありません。
妊娠・出産を経て、身体の構造そのものが大きく変化しています。
そこへ夜間育児特有の姿勢が重なることで、
“回復しづらい身体状態” が固定されやすくなります。
特に大きいのは、次の4つの連鎖です。
1. 胸郭(胸まわり)が固まりやすい
→ 添い寝や授乳では、不良姿勢が長時間続きやすくなります。
肩が内側に入り、肋骨の動きも制限されやすい状態になれば呼吸も浅く頻回になってしまいます。
2. 横隔膜が動きにくくなる
→ 胸郭が動かないことで、横隔膜という呼吸の要である筋肉の動きは制限されやすくなります。
特に、赤ちゃんを起こさないように身体を固めるクセがある方ほど、
横隔膜の本来のうごきが制限されてしまうことが考えられます。
3. 首・肩まわりの筋肉が頑張り続ける
→ 呼吸が浅くなると、
胸鎖乳突筋や僧帽筋などの“呼吸補助筋”が過剰に働きやすくなります。
その結果、
肩こり・首こり・頭の重さにつながることも。
4. 自律神経が整いづらくなる
→ 横隔膜は自律神経にも大きな影響を与えます。
浅い呼吸や筋緊張が続くことで、身体が “常に警戒している状態” から抜けづらくなります。
さらに、
夜間の頻回覚醒やスマホ・照明などの刺激が重なることで、
睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌環境にも影響しやすいと言われています。
つまり産後の夜は、「寝不足だから疲れる」だけではなく、
“身体が回復モードに入りづらい状態”そのものが続いているのです。
③ 海外研究が示す「呼吸」と自律神経の関係
最近の身体科学では、
呼吸は “酸素を取り込むだけ” のものではなく、
自律神経の働きにも深く関わることがわかってきています。
特に参考になるのが次の研究です。
📚Jerathらの研究(2015)|呼吸と自律神経活動の関係
呼吸パターンが、自律神経系へどのような影響を与えるかを整理したレビュー研究。
浅く速い呼吸は、交感神経優位と関連しやすい
ゆっくりとした横隔膜呼吸は、副交感神経活動を高めやすい
つまり、
胸郭が固まり、呼吸が浅い状態が続くほど、
身体は“休みにくい状態”になりやすい
ということです。
夜間育児中のママは、
ただでさえ睡眠が分断されやすい時期。
そこへ
・抱っこ姿勢
・添い寝固定
・呼吸浅化
・筋緊張
が重なることで、
“寝ても回復しづらい身体”になってしまうのは、
ある意味とても自然な反応なのです。
④ 回復の鍵は「呼吸できる姿勢」を取り戻すこと
夜泣きそのものをゼロにすることは、
難しい時期もあります。
だからこそ大切なのは、
短い睡眠時間でも、
“少し回復しやすい身体環境”をつくること。
そのためのポイントは3つです。
1. 背中側にも呼吸を入れること
→ 横向き姿勢が続くと、胸の前側ばかりが縮まりやすくなります。
背中側にふわっと空気が入る感覚を持つだけでも、
胸郭の緊張は変わっていきます。
2. 肩を“下げよう”としすぎないこと
→ 肩こりがあると、無理に肩を下げたくなる方も多いですが、
大切なのは “肩を固定する” ことではなく、
呼吸と一緒に自然に動けること。
まずは、力み続けていることに気づくことが大切です。
3. 「頑張って整える」をやめること
→ 夜間育児中は、
そもそも身体を完璧に保つことが難しい時期。
だからこそ、
“正しい姿勢を維持する”
よりも、
「呼吸が止まらない」
「固め続けない」
ことのほうが重要になります。
呼吸が通り始めると、
首や肩の力みが少し抜け、
身体は “回復する方向” へ向かい始めます。
⑤ まとめ:産後に必要なのは「頑張れる身体」ではなく「回復できる身体」
夜泣きがある時期は、
どうしても “寝ること” そのものに意識が向きやすくなります。
もちろん、睡眠時間を確保することはとても大切です。
しかし実際には、
「少し寝られたはずなのに、疲れが抜けない」
「朝から身体が重い」
「首や肩の緊張がずっと続いている」
という状態を抱えているママも少なくありません。
その背景には、
夜間育児によって “回復できない姿勢” が長時間続いていること
も関係している可能性があります。
添い寝や抱っこ寝かしつけで身体を固定し続けると、
呼吸は浅くなり、
首や肩まわりも緊張しやすくなります。
すると、
身体がうまく “休息モード” に切り替わりづらくなってしまいます。
だからこそ産後は、
“呼吸が止まらない身体”
“固め続けない身体”
を目指すことが大切なのです。
また、お子さんのことを考えたとき、
成長による夜泣きだけでなく、環境変化や刺激量増加によって睡眠が不安定になる時期もあります。
特に里帰りからの帰宅後、保育園入園後などは、新しい環境による緊張や刺激量の増加によって、夜間に覚醒しやすくなるケースも少なくありません。
こんなとき、お母さんに必要なのは
頑張って耐える身体ではなく、
自然に回復できる身体。
夜泣きのある毎日の中でも、
少しでも呼吸しやすく、
少しでも自分の身体を休ませられる時間が増えていくことを願っています。
⚫ 筆者:荻 菜摘
大手企業にて営業職からキャリアをスタート。
Webディレクター・マーケターとして9年目。
Webマーケティング戦略や新規事業に携わる一方で、
現在はピラティス(PHI)インストラクターとしても活動。
20〜40代女性を中心に、解剖学に基づいたケアとボディメイクを提供。
MTCAマタニティトレーニング&ケア協会認定トレーナー資格を取得後、第一子を出産。
現在は産後ママとして、自身の経験も踏まえたリアルな情報発信と運動指導を行っている。








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