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産後の生理痛はなぜ悪化する?〜身体のケアと運動習慣との関係〜

① 「産後、生理痛が前より重くなった気がする」——なぜ?


産後、久しぶりに生理が戻ってきたら、


「あれ、こんなにつらかったっけ…」


と驚いた、というママの声をよく聞きます。




「授乳中だから、ホルモンのせいかな」


「歳のせいかもしれない」


「体質が変わったんだろうな」


そんなふうに一言で片付けてしまいがちですが、


産前産後の体を見る仕事をしていると、


それだけで終わらせてしまうのは、


もったいない気がします。



生理痛の変化には、


骨盤まわりの状態や日々の過ごし方が


関わっていることが多いからです。



(余談ですが、私自身は先日、産後1年2ヶ月で生理が再開したとき、


逆に痛みが産前より軽くなっていて驚きました。


こちらは少数派のようですが、


生理の痛みとトレーニングとケア状況は、決して無関係ではないと私は考えています。)



産後、なぜ生理痛は変わるのか。


体の中で何が起きているのか、


3つの視点から考えてみたいと思います。


② 産後の体の中で起きていること、3つの視点


視点1:骨盤底・お腹まわりの筋力低下と、骨盤内の巡り


→ 妊娠・出産で伸びた骨盤底筋群やお腹まわりのインナーマッスルは、妊娠中の過ごし方によっては産後すぐには元に戻りません。


このあたりが使われにくくなったままだと骨盤内の血流が滞りやすく、子宮への血流不足から痛みの原因物質(プロスタグランジン)が排出されにくくなる、という見方があります。


視点2:冷えと骨盤内の循環


→ 産後は自律神経が乱れやすく、授乳や抱っこで長時間同じ姿勢が続くことも重なり、下半身が冷えやすくなります。


体が冷えると子宮の収縮が強まり痛みが増しやすいと言われる一方、仙骨まわりを温めたり温かい飲み物を取り入れたりすることは、骨盤内の血流を助ける習慣として知られています。


視点3:産後の活動量と、体を動かす習慣


→ 産後は自分のための時間がほとんど取れず、まとまった運動の余裕がない、という声をよく聞きます。


体を動かす機会が減ると、ふくらはぎや骨盤まわりの筋肉が血液を送り出す「ポンプ」の働きが弱まり巡りが落ちてしまう一方、隙間時間にでも体を動かす習慣があるかどうかが、月経痛の出方に関わっている可能性があります。


③ 海外研究が示す「運動」と「月経痛」の関係


この視点3について、運動と月経痛の関係を調べた海外の研究があります。


📚Armourらによる系統的レビュー(2019年)|運動は月経痛を大きく軽減する可能性がある


18〜43歳の女性854名を対象とした12件の臨床試験をまとめたコクランレビューです。


そのうち10件・754名分のデータをメタ分析し、運動をしたグループと運動をしなかったグループの月経痛の強さを比較しています。


・運動群は非運動群に比べて、月経痛の強さが臨床的に意味のある水準まで大きく軽減した(痛みの評価スケールで約25mm相当の低下)


・週3回程度、1回45〜60分ほどの運動を継続したケースで効果が見られ、ストレッチのような軽い運動でも、有酸素運動のような強度の高い運動でも、どちらも痛みの軽減につながっていた


(出典:Armour M, Ee CC, Naidoo D, Ayati Z, Chalmers KJ, Steel KA, de Manincor MJ, Delshad E. Exercise for dysmenorrhoea. Cochrane Database Syst Rev. 2019;9(9):CD004142.


この結果を踏まえると、①で触れたような「体質が変わった」という一言で片付けてしまいがちな生理痛の変化にも、日々の運動習慣が関わっている可能性が見えてきます。


産後に活動量がぐっと落ちてしまうことが、多くのママの生理痛悪化の一因になっているのかもしれません。


④ 産後の生理痛と付き合うための3つの視点


完璧な運動やケアができなくても大丈夫です。


小さな積み重ねから始めてみてください。


1. 骨盤底・お腹まわりを少しずつ取り戻す


→ 5分でもいいので、骨盤底や体幹を意識した軽いトレーニングを、寝かしつけ後やちょっとした隙間時間に取り入れてみてください。私はMTCAトレーニングを行っていますが、まずは「なんとなく硬いところを伸ばしてみる」程度で大丈夫。 毎回数分程度でも体がすっきりする感覚があります。


2. 体を冷やさない工夫をする


→ 仙骨まわりをカイロや腹巻きで温める、白湯や温かい飲み物を選ぶなど、下半身の冷えを溜めない習慣を意識してみてください。


3. 完璧を目指さず、体を動かす習慣を続ける


→ まとまった運動時間が取れなくても、週に数回、短時間でも体を動かす日を作ることが大切だと研究からも示されています。継続することを一番の目標にしてみてください。


⑤ まとめ:「体質のせい」で終わらせなくていい


産後の生理痛が変わるのは、


「体質が変わったから」の一言だけでは片付けられません。


骨盤まわりの筋力や冷え、運動習慣という視点から見直すと、


日々の過ごし方によって変えられる部分があるのかもしれません。


私自身も、隙間時間のトレーニングや冷え対策を続けていたことが、


結果的に痛みの軽さにつながっていたのかもしれないと、今は感じています。


自分を責めず、「こんなもの」にせず、できることから少しずつ。


MTCAトレーナーとして、そんな体づくりのお手伝いをこれからも続けていきたいと思います。



⚫ 筆者:荻 菜摘


大手企業にて営業職からキャリアをスタート。


Webディレクター・マーケターとして10年目。


Webマーケティング戦略や新規事業に携わる一方で、


現在はピラティス(PHI)インストラクターとしても活動。


20〜40代女性を中心に、解剖学に基づいたケアとボディメイクを提供。


MTCAマタニティトレーニング&ケア協会認定トレーナー資格を取得後、第一子を出産。


現在は産後ママとして、自身の経験も踏まえたリアルな情報発信と運動指導を行っている。

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